定期的にインプラント歯科にメンテナンスに行けば長持ちすると言われるインプラント。とはいえ、治療技術やどのメーカー品を使用するかによって、中には早い段階で不具合が起こったなどという報告も。
国民生活センターがとった平成23年12月22日のアンケート結果(※)によると、治療直後と考えられる「痛み」が圧倒的に多いと報告されていますが、その次に多いのは下記のようなトラブルが上げられるようです。
奮発をして手に入れた「気にせず固いモノも美味しく食べる」ことができる生活。一生ものの”歯”として大切にしたいですよね。
そこで、カウンセリングや検査時に、メンテナンスの必要性をしっかり説明し、同じインプラントを長く使い続けている患者さん率を誇る、医療法人くわばら歯科医院の桑原医院長にお話をうかがいながら、インプラントを長持ちさせる秘訣を探っていきます。
師と仰ぐ先生の「患者さまが自分の身内ならどんな治療をするか」という教えを守って25年以上。今では後進の医師達に「家族にしてあげたい治療」を指導する立場になりました。
「食べる」「噛む」といった当たり前の日常を、10年20年といわず、より長い年数を共にできるインプラントを提供する施設でありたいと、他4名の医師達と共に患者様に寄り添って治療に取り組んでいます。
インプラントを埋入した患者様が、長期間不自由なく美味しく食事を楽しむ生活が送られることを目指しています。
―― 治療後のメンテナンスが大事とよく言われますが…
はい、口内を清潔にしておかないと、インプラントの周りに歯周病などの菌が感染して、インプラントが埋まっている骨が溶けて薄くなり、インプラントをしっかり支えられなくなったり、最悪の場合、せっかく埋めたインプラントが抜け落ちてしまう場合があります。
当院では、インプラントと長く連れ添っていただくために、最初のカウンセリングや検査の際、治療後のメンテナンスがどれぐらい大切かをご理解いただくまでしっかり説明します。
1~3ヶ月に1回、保険適用される定期点検・クリーニング、そして、年に1回のインプラント専用のメンテナンスをお約束してもらいます。
―― 化膿や炎症を避ける方法は他にもあるのでしょうか?
日々のブラッシングや定期メンテナンス以前に、安いインプラントや人工歯(かぶせ物)を選ばないことも大切です。
インプラントは、大まかに言うと歯根の代わりになる「インプラント体」と歯の代わりになる人工歯「上部構造」から成り立っています。
まず当院では、「上部構造」には「ジルコニアセラミック」という材質しか使いません。
本物の歯であれば「歯根膜」という歯の根っこを守る膜があるんです。でも、インプラントにはそれがない。だから当院では汚れがつきにくいジルコニアを使って、患者さんのインプラントを炎症から守る対策をほどこしています。
材料の質を落とせばいくらでも安いインプラントは入れられます。ですが、その分汚れがたまりやすくなり、歯周炎などになりやすくなるんです。
―― 素材でそんなに違うなんて驚きです!
上部構造だけじゃありません。埋め込む人工歯根「インプラント体」も、ピンからキリまであります。
当院にもチッピング(人工歯が割れるなど)で来院される方がいらっしゃいますが、どのメーカーのインプラントかわからないといったことも。調べた結果、販売中止になり入手できないメーカー品なんかもままあります。
当院でも採用している「スクリューリテイン(ネジでかぶせ物と止める方法)」というタイプだと、インプラント体と人工歯をつなぐネジさえ手に入れば、大きなメンテナンスにしなくてすむのですが、手に入らない場合などはイチからやり直さなければなりません。
―― ちなみに、インプラントってそんなに簡単に割れたりするんですか?
食事や日常の生活では簡単に割れません。主たる原因としては「歯ぎしり」ですね。
―― え?歯ぎしりってそんなに…
いや、結構な力なんですよ。歯ぎしりをする人は、歯が削れているので一目みただけでわかるぐらいです。当院では、歯ぎしりをする方には、念のため、夜だけ「ナイトガード」というマウスピースをはめてもらうこともあります。
実際の歯と同様に、絶対割れないとは言い切れません。当院では治療して終わりではなく、治療後もメーカー保証とは別に、10年間の医院保証をつけているのと、万が一転勤などで当院に通えなくなった時用に、どんなインプラントメーカーを使用したのかがわかるカードを患者様に渡すようにしています。
―― 他にもインプラントを長持ちさせるための取り組みがあれば教えてください
まっすぐインプラントを埋め込み、インプラントと埋め込む骨がしっかりくっつくまで待つということですかね。
――「まっすぐインプラントを埋め込み」というのは…
まっすぐ歯を埋め込むって当たり前のように思うかもしれませんが、実際は、どんなに熟練した医師でも、人の手で埋入したり人工歯を被せたりするので必ずズレてしまうんです。
もちろん、技術力や経験値によって、そのズレを小さくすることはできます。でもズレる。
人工歯の上部構造をインプラント体のど真ん中にかぶせないと、理想的な噛み合わせが実現できません。
噛み合わせが悪いとどうなるか。噛むときの負荷が一部の歯に偏ったり、顎の関節にも影響を及ぼしたりと、インプラントの寿命はもちろん、他の本物の歯の寿命にも影響を与えかねません。
もっと言うと、せっかくインプラントを入れたのに、しっかり噛めない…なんて悲しいですよね。
当院では、「しっかり噛める」ようにを前提に、かぶせる人工歯ありきでどこにインプラント体を埋入するかという考え方で治療計画を組んでいます。
具体的に言うと、インプラント専用の3DCTで撮った高画質なCT画像と専用の3D専用ソフト(ノーベルクリニシャン)を使って、コンマ1mmのズレもないように、インプラント埋入の位置や角度を決めていきます。
そのデータを元に、インプラントを埋め込む「ガイド」という装置を作成し、ようやく治療に入ります。ガイドとはわかりやすくいうと、埋め込む位置がわかる定規みたいなものですね。
―― 全てのインプラント医院さんで、そのガイドというのは使われているのでしょうか?
いえ、まだまだ一部の医院さんだと思います。ガイド制作もひと手間かかりますし、ガイドを作る設備を揃えるのにも費用がかかりますしね。
ただ、先ほども言いましたように、どんなに経験値のある医師でもインプラント埋入時・上部構造を被せる時にはズレが生じます。
私も25年以上インプラントに携わり、当院に在籍する4人の医師も技術力で信頼できる先生方ばかりですが、それでも必ずガイドを使います。患者さんに少しでも快適な日常を送っていただきたいですからね。
―― なるほど。徹底した患者さん第一主義ですね!あと、インプラントと埋め込む骨がしっかりくっつくまで待つとおっしゃっていましたが、そこにもこだわりがあるのではないでしょうか?
まずは、患者さんに丁寧に説明して、インプラントと骨がしっかりくっつくまで、上の骨は6ヶ月、下の骨は3ヵ月という期間がかかるとご理解いただくところから始めます。
しっかりくっついたかどうかの確認方法も、当院では「オステル」という機械で、骨のくっつき具合を「音波」で定着率を計り、一定数値を超えないと人工歯を被せないというしっかりとしたガイドラインを設けています。
急いでやって、インプラント体や人工歯がまっすぐ取り付けられないと、また一からやりなおし…なんてことになったら、長持ちどころじゃない。また、患者さんの身体にご負担をかけることにもなります。
とにかく「患者さんが辛くない治療提供を」と日々治療に取り組んでいます。
「ここまでこだわるのか!」と思うほど、一つひとつの工程に丁寧さを感じました。全ては患者さんファーストの桑原医院長の想い。治療に入る前も、患者さんの不安を取り除くために、1時間以上かけて丁寧に説明するそうです。
「自分の家族にしてあげたい治療」をと繰り返し語ってくださった桑原医院長。患者さんに向き合うとはこういうことかと、感動を覚えた取材でした。
自分の本物の歯の代わりに一生付き合っていくインプラント。くわばら歯科医院のような、寄り添ってくれるインプラント医院と出会えると良いですね。
医療法人くわばら歯科のHPで
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所在地 | 京都府八幡市美濃山一ノ谷8-1 |
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電話番号 | 075-972-3666 |
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